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活動の報告①(道草通信より)

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みんなで21世紀の未来をひらく教育のつどい 教育研究全国集会2015㏌ 宮城(道草通信№72)


8月16日~18日、仙台市で開かれた「教育のつどい」に参加しました。初日の全体集会、世界を飛び回っている金平茂紀さんが、今、戦争法案等々、日本が大変なことになっていると、日本のマスコミのあり方等、物事の本質を見抜く目を持つ大切さを訴えられました。高校生OBの演劇「祖父の記憶」では、「回天」という人間魚雷があった事を初めて知りました。出撃を前に揺れる心を、同じ年代の青年が演じていて、命を落とした悲しさ、生き残った悲しさに涙があふれてきました。
フォーラム「子どもを大切にする『学校』について語ろう」では、不登校の子のお母さんが、色々な場面で親と子の思いって違うんだと感じてきたこと、「管理も強制も競争もない」という説明で定時制高校を選んだ子どもに、そういう所に行きたかったんだーと気持ちがわかったことなど話されました。スクールソーシャルワーカーの方からは、子どものニーズに寄り添って、訪問したり必要な手続き等にも同行して支援する取り組みの様子が話されました。中学校の若い先生からは、どんな子どもも排除しないという考えで、つっぱりの子どもたちと、放課後週1回の学習会を持った実践等が話されました。
学校の状況はますます厳しくなっているようですが、子どもを大切にする取り組みの形が様々あることに励まされ、もっと広げていくためには何が必要なのだろうと考えさせられました。
最終日は、被災地石巻市を訪問。現地の元先生のリアルな説明を受けながら、学校裏の階段を登って津波の難を逃れたという日和山に登りました。どれほどの思いだったことか… いまだ当たり前の暮らしが取り戻せていない現実を、胸に刻んだ一日でした。         (文責:上田)


県民教「第50回 かながわ夏の教育研究大会」に参加して(道草通信№72)


今年も8月23日神奈川県民間教育研究団体協議会(県民教)の大会に参加し、例年通り道草の会として、分科会を担当させて頂きました。
午前の講演は、金馬国晴横浜国立大学教育人間学部准教授による「子供が活き活き動く“活動”授業の条件」~学びあい、共同学習、アクティブラーニングって いったい何?~
従来の教壇に立つ先生の講義を聴講するという授業ではなく、実際にやってみる、意見を出し合って考えるなど、生徒が主体的・共同学習的に関わる授業のことだそうです。素人の私には正直言って「今更、何だろう?」という感じでしたが、参加されている先生方からはいくつも質問が出され、「学校の先生としては大変関心を持つべきテーマなのかな!?」とちょっと不思議な感じがしました。後日ネットで調べてみると、文科省が中央教育審議会に諮問して2016年度中には答申、2020年度から順次小学校、中学校、高校に実施されるようです。いいとも悪いとも私にはわかりませんが、講演の演題のように子供たちが活き活きと動き学べる授業や学校になることを願うばかりです。でも、いずれ学校現場でこのような動きが出てくるだろうという情報を得ることができました。
午後は、第11分科会「子供たちの荒れや生きづらさを考える」を道草の会が担当。心理カウンセラーの上田祐子さん(NPO非行克服支援センター理事)が、実際に調査研究にかかわり『何が非行に追い立て、何が立ち直る力となるか~「非行」に走った少年をめぐる諸問題とそこからの立ち直りに関する調査研究~』と題して編纂された本とその内容を紹介しながら報告。それをもとに参加者の皆さんからは、なぜか今の生徒たちは全体的におとなしい、子どもも大人も自己肯定感を持てない、全日制高校進学率87%という低さの神奈川、切実な40人以下学級の必要性、「みんな違ってみんないい」でも本当に?などが話されました。また川崎の中学生殺害事件のヒステリックな取り扱い方への違和感、でも他人ごとではない現実への不安や焦りなども率直に出されました。
調査メンバーの一人として、1人2時間かけてじっくりインタビューした上田さんには、当事者につかず離れず寄り添いながらも研究者として細やかな観察眼を感じます。会立ち上げからかかわり現在も道草の世話人だけでなく、様々な活動もされている経験が、日本でもおそらく初めてだろうといわれる調査研究に関わり書籍として結実したことは、「非行」克服支援の活動としても大変重要な発展ですが、細々ながら一緒に道草の会を続けてきた仲間としても、とても嬉しく思います。
さて、県民教主催者パンフによると、この大会は1963年~65年に開かれた「神奈川教育サークル協議会研究集会」を前身に、第1回関東民教協集会との合同開催を経て、1966年第1回大山大会が開かれてから今年は第50回。民間の教育研究団体が県単位で様々な教育団体と合同で行う大会は全国的にも少ない貴重な存在。自主的研修活動がしやすい情勢ではないが、立場考えの違いがあっても戦後70年「憲法に則りこれを生かした教育」「子供の未来を明るいものにする教育の実践」を目指してきた。教科書採択問題、道徳の教科化、安保法案など、「あのとき、大人は(先生たち)なにしてたの」と将来の青年の声にこたえられるようにしたい、と書かれていました。
毎年道草の会として参加させて頂いていますが、この趣旨を胸に地道に積み重ねられてきた経過を知って、遅ればせながら私たち道草の会にお声をかけて頂いている深い思いを感じました。生きていくことさえ危うくなりそうな方向を感じる現在、改めて市民レベルのこのようなネットワークや繋がりを大切にして、子どもたちの健やかな成長を守っていきたいと思いました。                          (文責:松浦)


第15回 「非行」を考える全国交流集会 参加報告♥その2   
➣第6分科会 危険ドラッグなどの薬物と青少年(道草通信№71)


板橋ダルク施設長の進藤俊明さん他2人の方が、薬に近づき、そこから抜けていった体験を赤裸々に話して下さいました。薬は案外身近にあって近づくのは簡単だし、悪いこと、危険なことに魅力を感じるタイプにはハードルが低いこと。いい気分を味わえるので薬そのものには悪い思い出がないこと。規制が厳しくなると抜け穴を探すように新たな配合の薬が編み出されていたちごっこで、どんどん体に悪い影響をする危険ドラッグが生まれてきていることなどリアルに知ることができました。
いい気分を味わえるのにやめるというのは、本当に大変なことなのだなあと思いました。薬中心の考えになってしまい、仕事など生活が成り立たず、家族や友だちが離れていって、孤独でもうムリだ、という「底つき」の体験をして、初めて治療してみようと思うこと。自分の意志だけで抜けることは難しく、ダルクのプログラムや仲間の力を借りる必要があること。背景に、満たされない穴を埋める「依存」という問題があること…
子どもがドラッグをやっているかもしれないと心配しているお母さんたちも参加しておられ、どうやって手に入れるのか、どうやって気づいたらいいのか等々、切実な質問にも答えていただきました。まず親がダルク等の専門機関につながっていることが大切なのだと思いました。大変な思いを越えてきただろうダルクのみなさんが、明るく、サラッと話してくださっている姿に、仲間を信じているんだなあと感じ、何があったとしてもきっと越えていけるのだという勇気をもらえた分科会でした。                     (文責:上田)


第15回「非行」を考える全国交流集会 参加報告♥特集(道草通信№70)


3月21日(土)~22日(日)、千葉県柏市のさわやかちば県民プラザで、毎年恒例の「非行」を考える全国交流集会が開かれました。様々な条件で参加できない会員さんもいらっしゃる中、15回目を迎える全国交流集会の様子を参加者の方たちで特集させて頂きました。


➣全国交流集会へ参加しました(道草通信№70)


全体集会での創作劇「夜空の虹」が劇団あめあがりの方たちで披露されました。4人家族の息子(兄)が「非行」に走る様子とその時の父母、妹の様子がリアルに表現されています。そして、それぞれの立場の思いが最後に話され、希望が見えてくるのです。私は2度目でしたが、見ていて涙が止まりませんでした。そして、孤立して悩んでいる親たちが、癒され、困難に立ち向かうエネルギーをもてるようになることが子どもたちの立ち直り支援になると改めて思いました。
あめあがりの会には、わが子の問題行動に悩む親たちで合唱団を結成しています。事務局長の春野さん親子のことを歌にしてくれた方がいて、その「19歳の花嫁」や「いつかきっと」など親の思いを歌にして披露しています。
そして今度は親や子の思いを劇にしてしまいました。演じてくれている方たちはあめあがりの会員やその子たちです。みなさん演技に思いが込められていてすばらしかったです。
全体集会では、木村隆夫さんの講演がありました。
木村さんはこれまでの非行克服支援活動からみえてきたこととして、過去に他者から傷つけられた経験のあるこどもたちは、信頼する大人と出会い、存在感を持つことで克服していくのだと話されました。
のりこえなければならない思春期・青年期の壁、社会的困難、個人の抱える困難の中、あるきっかけで発達の歪みとしての非行・問題行動がはじまってきます。非行・問題行動の高まりの中で、何度も問題行動を繰り返していく場合、一気に大きな事件が発生する場合、支援者が寄り添うことで回復していく場合があります。非行克服の道筋は①まず居場所づくり、②次に自尊感情がもてるように支援、③目標を発見できる手助け。どんなに荒れていても、ほとんどの子が自らの努力と、家族や周囲の援助で非行を克服していきます。こうした非行の歴史から学んで、根底でこどもに対する信頼感を持つことが大切、と話されました。その時、親や家族だけで苦しむことがないように話せる場を持つこと、「非行」を考える親たちの会の役割は大きいとも話していました。
深刻な場合でも、その分克服するのに時間はかかりますが、支援者の粘り強いかかわりがあれば、克服していくと話されました。聞いていて、本当に、子どもたちは自分と真剣にかかわってくれるかどうか、見極めるためにいろいろしてくれるけど、一喜一憂しないで希望を捨てないでかかわっていけば、いつかきっと立ち直る、と思いました。
この全国交流集会は毎年3月に開かれています。私は第1回開催前日に、子どもが逮捕されて、新聞記事でこの集会を知って、ちょっとどんなところか不安をもちながら、思い切って参加して今もかかわっています。自分の息子は28歳になりもう落ち着いていますが、毎年、この交流集会に参加して分散会に参加すると、人のやさしさを感じて温かい気持ちになります。参加している人たちがたくさん苦労している分、人にやさしく接することができるんだなと思います。また話を聞きながら、自分のことを考える場にもなります。自分自身を振り返る場になっている気がします。
来年もみなさんをお会いできるのを楽しみにしています。(世話人 エム)
                              

➣第3分科会 保護観察と子どもの生活(道草通信№70)


ゲストは、大学院生時代にNPO非行克服支援センターの活動に参加され、その後保護観察官となってまだ数年、日々悩みながら仕事をされているという笠谷千尋さん。報告者は5年前よりあめあがりの会に参加、保護司として15年間の経験をお持ちの原さん。さらに、全体集会の木村隆夫講師もご参加くださいました。参加者の構成は、親、保護司、施設職員、教師、記者の10人で、記者の方は取材というより、学習を目的に参加されている様子。保護観察となった少年と関わる保護司は、地域の名誉職として形骸化している一方で、限られた機会の中、精一杯少年との信頼関係を作ることに苦心されている方もいる、また相性もある。それらを支える保護観察所や施設など、様々な立場からも、日頃感じている疑問や経験が交流されました。結論が出る訳ではありませんが、少数なので十分お話しすることが出来ました。(文責:松浦)


➣第9分科会 発達障害の子どもへの理解と対応(道草通信№70)


 参加して、私が今年の分科会から持ち帰ったお土産は、『本人が「自分自身の障害」についての認識を「自分自身の特徴」として持てるようにする。生活をマネージメントできる力を育てる』という事と『周囲は「少し変わった子」と認識して不当な対応をせず、適当な距離を保てる力を持つ』という事です。
 息子はもう26才になりましたが、私は彼の小さかった頃から、障害についても知識不足で、発表者の方のように適確な支援をしてあげることもなく育ててきてしまった親です。親子関係は表面は、中学時代ほど険悪ではありませんが、その頃からの溝に今もひんやり冷たい風が通って行くのを感じて暮らしています。お互いの信頼関係を築けるよう、発表者のお母さんの努力をこれから見習って、接していきたいと思いました。    (文責:S)








第13回「非行」を考える親たちのつどいに参加して S

久々に道草の会に参加しました。総勢14名で、終始和やかな落ち着いた雰囲気でお話を聞いたり、話し合ったりすることができ充実した時間を皆さんと共有することができました。
第1部 上田祐子さんの「何が非行に追い立て、何が立ち直る力となるか」のお話は、2012年NPO非行克服支援センターがおこなった調査結果を2年がかりでまとめ、研究されたもので、「非行」当事者の視点から一人の人の非行の最初から立ち直りまでのプロセス全体を検討した全国初の貴重な研究発表です。大雑把に心に残ったことを要約します。
非行の原因は一つではなく、一見フツーの環境で育ってきた子どもでも非行に至っています。様々な経験や出会いがある中で、出会った全ての大人が、子どもを一人の人間として真摯に向き合ったのかどうかも、問うています。非行の立ち直りとは、本人の力が誰かに認められることで自己肯定感を取り戻し、人への信頼を取り戻して、社会につながり適応していくこと。そのためには、子どもを長期的に見ようとする社会の寛容な姿勢が求められています。 少年非行犯罪への厳罰化の流れが強まっている昨今ですが、「罰」という捉え方には、人との出会いという観点が欠けています。子どもを一人の人間として認め、一方的でない双方向の関わりを築き合っていきましょう~とのお話圧巻! 上田さん長い間の御研究本当にお疲れ様でした。
~Tさんのお話を伺って~   高1から不登校、暴走族、退学、17歳で鑑別所、少年院~大学卒業され、現在34歳の息子さんとの17年間を振り返ってのお話でした。昨年2月に埼玉の例会で親子対談することに3度目の働きかけでやっと「出てもいいよ」と息子さんが返事をくれ、対談が実現できた。その対話の場で、親も息子さんも互いの理解を深め合うことができ~良かった。Tさんは息子さんに17年間聞きたかったが聞けないできた2つの事を、その場で聞くことができた~「答はなかったが聞けて良かった、満足」と、心からほっとした表情で、「息子には息子の言い分があったのだと、気づかされた」というお話に感動させられました。Tさんにも息子さんにも拍手を送りたい嬉しい気持ちになりました。「この会での出会いがあったから、息子と話す場をいただいて、いい親子関係が生まれてきた」としみじみ嬉しそうに語ってみえました。